AIやデータが「何をすべきか」を教えてくれる時代だからこそ、それを実行し続ける人間の情熱が、最後の差になる。

サービスを15年間運営していると、いろいろなものが蓄積されていきます。
その中でも、最近改めて「これは大きな資産だな」と感じているものがあります。

データです。

私たちが運営しているオンライン英会話「ワールドトーク」は、2011年にサービスを開始しました。

15年間、毎日のように会員登録があり、レッスンが予約され、講師がレッスンを行っています。

当然、その裏側には膨大なデータが蓄積されています。

  • どれくらいの人が登録したのか
  • そのうち何人が体験レッスンを受けたのか
  • どれくらいの人が有料会員になったのか
  • 何ヶ月継続してくれたのか
  • どんな講師が選ばれているのか
  • どんなレッスンが受講されているのか

さらにGoogle Analyticsなどのアクセスデータもあります。

どこからサイトへ来たのか。
どのページを見たのか。
どこから登録につながったのか。

15年間サービスを続けてきたからこそ持っているデータです。
当然、これをマーケティングに活用できれば強い。

ただ、これまでは「データがあること」と「データを使えること」の間には、かなり大きな壁がありました。

最近、その壁をAIが一気に壊し始めています。

そして、それによって私は逆に、

データを使えること自体が、いずれ特別ではなくなるのではないか。

とも考えるようになりました。

では、誰もがデータを使えるようになった世界で、何がサービスの差になるのでしょうか。
最近は、そんなことを考えています。

株式会社ライトアップの森山(@wu_moriyama)です。
これまで、15年以上のオンラインスクール運営と、200校以上のスクール立ち上げを実施してきました。

今回は、AIによって大きく変わり始めたデータ活用と、その先にある、少し人間臭い話を書いてみたいと思います。

この記事でわかること
  • AIが普及することで分析のコストが下がる
  • 新たな時代に必要なのは人の決断と行動
  • 行動を支えるのは意外と人間的なものなのかもしれない

→[PR]スクール運営のためのシステムWTE

以前は、データを一つ出すだけでも大変だった

少し前まで、社内に蓄積されたデータをマーケティングに活用するのは、かなり大変な仕事でした。

例えば、

「無料登録した人のうち、何%が体験レッスンを受け、そのうち何%が有料会員になっているのか知りたい」

と思ったとします。

言葉にすると簡単です。
でも、実際に調べようとするとそう簡単ではありません。

  • まず、必要なデータをデータベースから抽出する
  • それをExcelなどにまとめる
  • 登録者、体験者、有料会員を紐づける
  • 期間ごとに集計する
  • 必要な計算式を作る
  • 数字がおかしければ、また元データを確認する

さらに、

「3ヶ月後にも続けている人は?」
「6ヶ月後は?」
「流入経路によって違いはある?」

と調べ始めると、どんどん複雑になっていきます。

  • データベースのことも分かる
  • Excelも使える
  • マーケティングのことも分かる

そんな人でなければ、なかなか自由に分析できません。
私自身も、何かを分析しようと思ったら数日かけてデータを作り、その数字を見ながら仮説を立てていました。

しかも、どれだけ頑張っても人間が見られるデータ量には限界があります。

「この数字が下がったのはなぜだろう?」

数字だけでは分からない部分については、自分の経験から仮説を立てる。

そんな分析を長い間やってきました。

AIコーディングが、社内データの使い方を変えてしまった

ところが、ここ最近、その状況が大きく変わりました。

きっかけの一つが、AIコーディングです。

以前なら、データを見るための管理画面を一つ作るだけでも、エンジニアへ仕様を伝えて、開発をお願いする必要がありました。

当然、時間も費用もかかります。

そのため、

「見られたら便利だけど、わざわざシステムを改修するほどではないかな」

と諦めていたデータもたくさんありました。

それがAIコーディングによって、自分で作れるようになりました。

  • 例えば、期間を指定する
  • 登録者数が表示される
  • そのうち何人が体験したのかが分かる
  • 何人が有料会員になったのかも分かる
  • さらに、その後どれくらい継続しているのかも追える

これまでExcelを開いて何時間もかけて作っていた数字が、管理画面を開けば表示される。

しかも、そのデータは毎日更新されています。

感覚としては、

サービスが毎日、自動的に健康診断を受けているようなものです。

  • 昨日と比べてどうだったのか
  • 先月と比べてどうなのか
  • 半年前と比べてどうなのか
  • どこが良くなっていて、どこが悪くなっているのか

サービスの状態を、以前よりずっと細かく見られるようになりました。

これは、私にとってかなり大きな変化でした。

でも、データを出せるだけでは意味がない

ただ、ここで次の問題が出てきます。

データが増えすぎるんです。

見ようと思えば、いくらでも見られる。

  • 登録率
  • 体験率
  • 有料化率
  • 継続率
  • 解約率
  • 講師ごとの予約
  • レッスン数
  • 流入経路
  • ページごとのアクセス

さらに期間を変えたり、条件を変えたりすれば、数字はいくらでも出てきます。

でも、データというのは、たくさんあればいいわけではありません。
むしろ大量の数字を眺めて、

「なるほど。」

で終わってしまうこともあります。

データを出しただけで、なんとなく仕事をした気になってしまう。
これは結構危険です。

必要なのは、その数字から、

「では、何を変えるのか?」

を考えることだからです。

ところが、この部分までAIが入り始めました。

人間には読めない量のデータも、AIなら読める

私はそれほど大量の情報を一度に処理できません。

当然ですが、人間なので限界があります。
Excelに何万行もデータがあったら、それを一行ずつ眺めるなんて現実的ではありません。

だから以前は、

「この数字を見よう」

と先に分析対象を絞っていました。

でも、AIは違います。
何万行というデータでも読み込ませることができます。

  • 複数の期間を比較する
  • ユーザーの行動パターンを探す
  • 特徴的な変化を見つける

自分では気づかなかった傾向を指摘してもらう。

さらに、

「この数字から何が考えられる?」

と聞けば、いくつもの仮説まで出してくれます。

つまり、

データを作るコストが下がり、データを分析するコストまで下がった。

これはかなり大きな変化です。

以前であれば、一部のデータ分析が得意な人にしかできなかったことが、少しずつ誰にでもできる仕事になり始めています。

そして私は、この状況を見ながら少し違うことを考えるようになりました。

データ分析だけで勝てる時代も、長くは続かない

今の段階では、AIを使ってデータ分析ができること自体が、一つの競争力になると思っています。

だから、私も今のうちにできるだけ使いたい。

  • データを整備する
  • 管理画面を作る
  • AIに分析してもらう
  • そこから改善する

かなり力を入れています。

ただ、おそらくこの差も、ずっとは続きません。
AIがさらに普及すれば、同じことを多くの会社ができるようになります。

「先月、なぜ売上が落ちたの?」
と聞けばAIが分析してくれる。

「どこを改善すればいい?」
と聞けば候補を出してくれる。

「どんなコンテンツを作ればいい?」
と聞けば企画まで考えてくれる。

そんなことが当たり前になるでしょう。

そうなると、

データを分析できること自体では、差がつかなくなります。

むしろ、マーケティングはもっと細かくなっていくのだと思います。

  • 同じ商品でもユーザーごとに訴求を変える
  • 細かなニーズごとにコンテンツを作る
  • 数字を見ながら、小さな改善を高速で繰り返す

AIによってできることが増える分、やるべきことも増えていく。

正直に言えば、

「大変な時代になったな」

とも思います。

AIがあれば、仕事が全部楽になる。
そんな単純な世界ではなさそうです。

むしろ、できることが増えたからこそ、競争もさらに激しくなるのかもしれません。

でも、マーケティングは昔からそんなものだった

考えてみれば、これはAIに始まった話ではありません。

インターネットが登場したときも、

「インターネットで簡単に稼げる」

と言われました。

SEOが広がったときもそうです。
SNSが登場したときもそうでした。

  • 新しい技術が登場すると、新しいチャンスが生まれます
  • 実際、早く動いた人が大きく成長することもあります
  • でも、時間が経てば競合が増える
  • ノウハウが共有される
  • 企業も参入する

そして、最初は特別だった方法が、少しずつ当たり前になっていきます。

AIも、おそらく同じです。
AIを使えば、何もしなくても売上が伸びるわけではありません。

ただ、

これまでできなかったことを、より速く、より多く試せるようになった。

私は、そこに大きな価値があると思っています。

「何をすればいいか」が分かっても、やるかどうかは別の話

AIにデータを分析してもらうと、改善案はいくらでも出てきます。

  • このページを改善した方がいい
  • このユーザーには別の案内をした方がいい
  • このタイミングでメールを送った方がいい
  • このテーマの記事を増やした方がいい
  • 新しい商品を作った方がいい

おそらく、これからAIはもっと賢くなり、

「何をすればいいのか」

について、かなり高い精度で教えてくれるようになるでしょう。

でも、ここには大きな違いがあります。

分かったことと、実際にやることは違います。

10個の改善案が出てきた。

そのうち一つを実行する会社もある。
三つ試す会社もある。
10個全部やってみる会社もある。
そして、やってみた結果をまたデータで確認して、次の改善を始める会社もある。

おそらく、この差はこれからも残ります。

AIによって行動の方向が見えやすくなったからこそ、

実際にどれだけ試せるか。

その小さな積み重ねが、サービスの差になっていくのではないかと思っています。

では、人を動かすものは何なのか

ここから少し、データとは真逆の話をします。

では、

「やった方がいい」

と分かっていることを、本当にやる力はどこから出てくるのでしょうか。

私は結局、かなり人間臭いものなのではないかと思っています。

  • 誰かの悩みを解決したい
  • もっと良いサービスを作りたい
  • 会社を大きくしたい
  • 自分自身が成功したい
  • 家族を幸せにしたい

人によって、その理由は違うと思います。

別に壮大な目的である必要もありません。

「これ、面白そうだからやってみたい。」
でもいい。

「この数字をもう少し上げたい。」
でもいいと思います。

でも、その何かがあるから、人は動きます。

うまくいかなければ、もう一度試す。
それでもダメなら、別の方法を考える。

その繰り返しが、少しずつ結果につながっていく。

ここまでAIが進化しても、

最後に人を動かしているのは、案外こういう感情なのかもしれません。

方向性を決めるのはデータ。でも、人を動かすのは情熱。

私は、感覚だけで経営やマーケティングをするべきだとは思っていません。

むしろ逆です。

使えるデータは、徹底的に使った方がいい。
AIも使った方がいい。

数字を見て、間違っているのであれば方向を変える。
思い込みではなく、ユーザーの行動を見る。

これは、これからますます重要になると思います。

だから、

進む方向を決めるのはデータです。

でも、その方向へ実際に進むのは人間です。

そして、

「もう少しやってみよう。」
「ここを変えてみよう。」
「もっと良くできるんじゃないか。」

と人を動かすものまで、すべてデータで説明することはできません。

そこには、その人なりの目的や想いがある。
少し古い言葉に聞こえるかもしれませんが、私はそれを「情熱」と呼んでもいいのではないかと思っています。

AIによって、仕事の多くが最適化されていく。
データ分析も平準化されていく。

だからこそ逆に、

何のためにそれをやるのか。

という、とても人間的な部分が大切になっていくのかもしれません。

今、私の手元には、以前とは比較にならないほど大量のデータがあります。
AIに聞けば、そこからたくさんのことを教えてくれます。

でも、そのデータを使って何をするのか。
何を変えるのか。
そして、本当に行動するのか。

そこまでは、自分たちの仕事です。

データを活かすのも、ただ眺めて終わるのも、最後は自分次第。

そんな当たり前のことを、AIによって何でも分析できるようになった今、改めて感じています。

WTEでは、データを活かしたスクール運営を支援しています

私たちは、オンラインスクール向け予約システム「WTE」を提供しています。

予約管理や決済、講師管理といった日々の運営業務はもちろんですが、オンラインスクールを成長させていくためには、蓄積されたデータをどう次の改善につなげるかも大切です。

私たち自身、ワールドトークやKIRIHARA Online Academyを運営しながら、AIを使ったデータ分析やシステム改善、新しいサービス開発に取り組んでいます。

WTEでも、200校以上のオンラインスクール立ち上げに関わってきた経験をもとに、システムを提供して終わりではなく、そのスクールをどう育てていくかまで一緒に考えています。

データやAIを活用してスクール運営をもっと良くしたい、新しい仕組みに挑戦してみたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

オンラインスクールの立ち上げ・運営ならWTE

ABOUT ME
森山 卓(もりやま すぐる) ─ 株式会社ライトアップ/WTE事業責任者
オンライン英会話「ワールドトーク」を15年、オンラインレッスン予約システム「WTE」を14年にわたり運営してきた、オンラインスクール立ち上げのプロフェッショナル。自社スクールで培った知見をもとに、これまで200社以上のオンラインスクールの立ち上げに参画。桐原書店との共同学習プラットフォーム「KIRIHARA Online Academy」では事業責任者を務めるなど、出版社・大手事業者との協業実績も豊富です。 オンラインレッスンに関するセミナー登壇は10年以上、近年ではDMM英会話と共同で立ち上げ・売上アップセミナーを開催。机上の理論ではなく、実際に運営し続けてきた一次体験に基づく、再現性のある情報発信を続けています。